下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 10 RESIDENT COURSE 解答 【症例 LR 46】

子宮広間膜異常裂孔ヘルニアによる回腸絞扼性小腸閉塞.strangulated obstruction of ileum with necrosis due to herniation through a defect of broad ligament of uterus



図1の肝周囲には腹水はないが,図9のDouglas窩にある少量の腹水は,腸管内容物よりdensityが高く,血性腹水であろう.骨盤腔内で拡張した小腸はgaslessで,図4〜図6では腸間膜の強い浮腫または液貯留(均一な部分)がある(▲).図6と図7では血管の怒張を認め(△),周囲の虚脱した小腸と比較して壁の造影効果は減弱しているので,絞扼性小腸閉塞であろうとの診断でいいが,closed loopを証明すれば決定的なので図8のAと1から追跡する.1は図7の10で閉塞し,Aは図8の↑で閉塞すると解釈できる.虚脱した小腸(SB)が隣接し,図7のbeak signを呈したaから口側へ進展する腸管が単純閉塞の小腸だからclosed loopが証明された.閉塞部位(↑)が子宮のすぐ右側にあり,子宮は左前方に偏移し,S状結腸が後方へ圧排され典型的な子宮広間膜異常裂孔ヘルニアであり,それによる壊死に陥った絞扼性小腸閉塞と言える.手術で長さ20cm の回腸が子宮広間膜異常裂孔に嵌入し,壊死に陥っていた(図A).R:直腸,S:S状結腸.







  【参照症例】   1. 下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 3 【症例 LR 14】

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