その他(Miscellaneous)シリーズ17 RESIDENT COURSE 解答 【症例 MR 81】

出血性十二指腸潰瘍.Bleeding duodenal ulcer






図7〜図9で空腸(J:腹部で右上から左下への斜線を境に空腸は左側へ,回腸は右側へ位置することが多い)が液状内容物を含むが,大量下血例なら内容物は血液と判断し,空腸より口側が出血源であることを示唆する.胃はガスが主で,十二指腸(Du)は液状内容物でやや拡張しているので出血部位は十二指腸である可能性が極めて高い.図4〜図11の△はextravasation(造影剤の血管外濾出)を示しており,十二指腸での出血である.図1〜図9で十二指腸後壁は粘膜下浮腫による壁肥厚(▲)を示し,認識できないが後壁潰瘍を強く疑う.図4と図5の十二指腸の一部↑は,図1〜図3の十二指腸内腔の展開から逸れてふくらんだ部分を示しており,タッシェかまたは急性潰瘍を描出している可能性がある.内視鏡検査で十二指腸球部後壁に凝血塊の付着した潰瘍(図A:↑)を認めたが,既に自然止血していた.図Bは3週間後の内視鏡所見で,順調に治癒に向かいH1 stageに回復した(白矢印).








参考症例(十二指腸潰瘍,7mmスライス):16歳男性.2週間前から空腹時に心窩部違和感があり,食後に消失する.当日に2回のタール便があり来院.血圧:94/50mmHg,脈拍:98/分.Hb:12.7g/dl.double phase造影CTである.
十二指腸球部(Du)後壁に粘膜下浮腫(▲)を認め,図2と図7の↑は急性潰瘍であろう.Extravasationは認めない.翌日の内視鏡検査で十二指腸球部に2個のstage A1潰瘍(図Aと図Bの↑と白矢印)を認めたが,既に自然止血していた.Hb:12.7→10.6g/dl.3または4mmスライスCTならもっと鮮明な潰瘍病変が描出されたと思われる.










  【参照症例】   1. その他(Miscellaneous)シリーズ1 【症例 ME 4】

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