その他(Miscellaneous)シリーズ16 RESIDENT COURSE 解答 【症例 MR 80】

特発性(右側)食道破裂(Boerhaave・ブールハーフェ症候群).Spontaneous,right side rupture of esophagus(Boerhaave syndrome)





図Aと図Bの胸部写真で気胸は認識できないが,左側に比べ右側が白っぽく胸水の存在を示唆する.CTでは,1)図4〜図6の縦隔条件CTで両側に胸水(※)を認める,2)図1〜図3,図7〜図9の肺野条件CTで気胸(白矢印)を認める.側面(▲)で胸壁と肺の解離がないから胸部写真(図1と図2)では認識されない.3)肺野条件CTで,△は食道だが,↑は縦隔気腫を示している.従って,嘔吐後の胸痛を考慮してBoerhaave症候群と診断するが,胸水が右側に多いことから食道右側破裂(左側が圧倒的に多い)の可能性が高い.右側に胸腔チューブを挿入したら約400mlの,食物残渣を含む胸水が排出され食道破裂と診断し手術となった.下部食道後壁から右側に螺旋状の約1/3周の裂創を認めた.






参考症例(Boerhaave症候群):60歳男性.飲酒後に嘔吐し,2回目は吐血した.その直後から両肩に放散する前胸部痛が出現した.体温:38.0℃.
図1で大動脈左縁に沿って縦隔内気腫(白矢印)を認める.CTでは気胸はないが,縦隔気腫(↑)と左側胸腔内に胸水(▲)があり,嘔吐後の胸痛を考慮すると食道破裂を強く疑う.△は食道.図Bの造影で造影剤の左側胸腔内への漏出(↑)を認め,手術で左側穿孔が確認された.







  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ22 【症例 ER 110】

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