その他(Miscellaneous)シリーズ16 RESIDENT COURSE 解答 【症例 MR 77】

腹部大動脈瘤破裂.Ruptured AAA(abdominal aortic aneurysm)




図2〜図11のAは腹部大動脈瘤で,図6で最大径9cmもある.図1〜図12の※は後腹膜血腫を示しており,図4〜図7の↑はextravasation(造影剤の血管外濾出)であろう.図1でIVCは虚脱し重度の循環血液量不足を意味し,腹部大動脈瘤破裂である.何回か言及したが,血圧が低く,腹部膨満を認める例では,その場で腹部エコー検査を行えば腹部大動脈瘤の診断は容易であるのでCTは不要である.手術中に出血傾向が出現し,大量出血により術後まもなく死亡した.








参考症例(Plain CT:腹部大動脈瘤破裂):69歳男性.一人で食事中に床上に倒れているところを発見された.血圧:触診で60台,脈拍:120/分.意識はあり,腹部は膨満し全体的に圧痛を認めた.
腹部大動脈瘤破裂である.※は後腹膜血腫を示しており,図3〜図5では石灰化した動脈壁の破綻部位(↑)を認める.図3と図4の高濃度の▲はcrescent sign(参照症例の文献参照)であり,瘤内の古い血腫内の新鮮な血腫で,解離現象を示す.CT検査は不要で,上記症例同様腹部エコー検査で診断し,即刻手術室へ搬送すべきである.






  【参照症例】   1. その他(Miscellaneous)シリーズ4 【症例 MR 17】
2. 腹部全体痛シリーズ(Generalized Abdominal Pain)16 【症例 GR 76】

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