その他(Miscellaneous)シリーズ15 EXPERT COURSE 解答 【症例 ME 73】

左腎結腸瘻.腎結石.Reno-colic fistula due to left renal stone












図3〜図6で水腎症(※)を示しているが,腎実質は右側に比べ造影効果が極めて減弱しており,25年前からの腎結石による萎縮を示す慢性的な所見である.図2〜図7でガス(▲)を含んでいることはガス産生菌による腎盂腎炎を示唆するが,腸管と交通している可能性もある.実は,double-Jカテーテル挿入時に造影剤を注入したら下行結腸が描出され(図A),腎結腸瘻がCT撮影前に証明された.図14〜図18の索状物↑は,下行結腸(D)と左腎の瘻孔(fistula)を示していることになる.図Bと図Cの注腸造影でも瘻孔を示唆する所見(△)が見られる.左腎摘出術を行った.












文献考察:腎結腸瘻(renocolic fistula).分類は表.
1)Scott Med J. 1998 Apr;43(2):59-60.
Renocolic fistula: a case report.
Duddalwar VA, Robertson EM. PMID: 9717209

2)腎結腸瘻の1例
Author:辻本裕一(国立大阪病院), 岡聖次, 新井浩樹, 三木健史, 宮川康, 高野右嗣, 安永豊, 高羽津
Source:泌尿器科紀要(0018-1994)46巻6号 Page409-412(2000.06)

要旨:腎結腸瘻の本邦集計36例によると,年齢は25〜78歳(平均:56歳),約1: 2と女性に多い.主訴は疼痛,発熱と皮膚瘻孔形成が多く,また膿尿は必発で,尿培養ではproteus,E.coli,pseudomonousの頻度で高い.原因は結石によるものが26例と最も多く,結核などの感染症が10例,腎摘を中断した手術例が7例,腎癌によるものが1例と,膀胱結腸瘻とは反対に尿路側に原因が多い.患側は28: 9で左に多いが,腎十二指腸瘻を含めると左右差はないと考えられる.手術法としては腎摘と瘻孔閉鎖が最も多く,死亡率は3%であった.

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