胃と十二指腸（Du）が拡張している．図６〜図９の↑は膵体部の腫瘍性病変で，頭部と比較して造影効果が弱く，やや不整である．図１０の△あたりで腫瘍により閉塞しているものと思われる．図５と図６でSMVが，図７でSMAが認識できなくなり，腫瘍による浸潤を示唆する．膵管造影で同部位での閉塞を認めた（図A：▲）．手術適応外の進行性膵体部癌と診断され，放射線治療または化学療法のため転院した．

参考症例（膵尾部癌による十二指腸閉塞）：55歳男性．1ヶ月前に嘔吐し，以後次第に頻回になり来院した．熱はなく，腹部に特記すべき所見はない．図１〜図８は単純CTで10mmスライス，図９〜図１９はNGチューブ挿入後の造影CTで5mmスライス．

上段の単純CTで胃と十二指腸（Du）が拡張している．下段の造影CTで図１０〜図１６の↑は他の膵組織と比較して，弱いがやや不整な造影効果を示し腫瘍性病変である．単純CTでは図３と図４の▲が同病変と思われるが認識困難である．図Aの十二指腸造影でTreitz靱帯近くの十二指腸で狭窄（△）を認め，膵腫瘍が原因であろう．手術で同所見が確認された．肝転移（CTでは不明）を認めたので胃空腸吻合術が施行された．