胃が拡張しているので,通過障害がないか前庭部に注目すると,図3〜図6で↑は十二指腸球部の腫瘍性病変で,閉塞または狭窄の原因と思われる.やや強く不整に造影され,それだけで悪性腫瘍を疑うが,図3〜図20の▲は転移性病変と思われ,広範に広がった,進行性の悪性腫瘍である.図5で白矢印が幽門輪だから,腫瘍はそこを超えて胃前庭部まで浸潤している可能性がある.右腎は造影効果が減弱し,図13と図14で水腎症(△)を認める.△を尾側へ追跡すると拡張した尿管が図19で転移性腫瘍に巻き込まれ閉塞する.図13で腎静脈がIVCに合流するが,そこより口側は虚脱しており重度のhypovolemiaを意味する.Du:十二指腸.内視鏡検査と生検で十二指腸癌と診断された.胃前庭部には粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認めた.図Aの造影で↑が癌による狭窄部,白矢印は前庭部の浸潤像を示している.手術を予定していたが,胸水と呼吸不全が出現し死亡した.
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