吐血時のCT(図1〜図6)で膵腫大はないが,下大静脈(IVC)周辺に液貯留があり(図3,図4:※),図3〜図5で膵尾部周辺の前腎傍腔(anterior para-renal space)の脂肪の濃度上昇(↑)が認められることから急性膵炎と診断される.図2〜図4の膵頭部には2cm大の異常血管(△)が認められ動脈瘤が強く疑われる.図5では,十二指腸内の▲はextravasationと思われ,動脈瘤から十二指腸内への出血の可能性が高い.単純CTあるいは,double phase 造影CTを撮影すればより信頼度の高い消化管出血のCT診断が可能になる.このように膵炎には仮性動脈瘤が稀ならず合併し,出血する場合があるので注意を要する.
図7以下は翌日背部痛と右上腹部痛を訴えた時のCT.右後腹膜腔に大量の血腫を認め(図7〜図14:※),動脈瘤(図8〜図12:△)は2倍の大きさに拡大し,動脈瘤の後腹膜内破裂である.図12の扁平なIVCは重度の循環血液量不足を意味する.血管造影(図A)で動脈瘤(△)が確認され,塞栓術で止血に成功した.
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