その他(Miscellaneous)シリーズ12 RESIDENT COURSE 解答 【症例 MR 56】

上行結腸憩室出血.Bleeding diverticulosis of ascending colon








前述したように,大量下血例では糞便は下血とともに排出されるので,腸管内容物の性状で出血部位が推測できる.上段の単純CT図5と図6の上行結腸内容物(※)は気泡状ガスが散在する普通便ではなく,やや高濃度の均一な内容物で血腫であることを示唆する.従って出血部位は小腸か右側結腸の可能性が極めて高い.下段の造影CTで図10〜図14の△は単純CTで描出されていないのでextravasation(造影剤の血管外濾出)である.数個の憩室(↑)を認めるので,上行結腸憩室出血と診断できる.緊急大腸ファイバー検査を行ったが出血部位まで到達できず,翌日の再検査で上行結腸に露出血管を有する憩室(図A:▲)を認め,クリップで縫縮した(図B).Hbは13.5g/dlから5.9g/dlまで低下したので2単位の輸血を要したが,以後再出血はなく順調に経過した.








参考症例(上行結腸憩室出血):70歳男性.1年前上行結腸憩室出血を内視鏡的に止血された.10時間前から数回の,黒色便と鮮血混じりの下痢が数回あった.血圧:110/68mmHg.脈拍:92/分.






上段の単純CTで右側結腸は便塊と血腫様の混合内容物を含み,右側結腸または小腸が出血源であろう.下段の造影CTで図8〜図11でextravasation(△)を認め,上行結腸での出血である.はっきりした憩室は認めないので原因病変は不明である.大腸ファイバー検査で上行結腸で同部位に憩室からの動脈性の出血を認め,クリップで止血を試みた(図A)が成功せず,血圧が低下したので血管造影を行った.図Bでextravasation(↑:白矢印はクリップ)を認め,コイルで責任血管を塞栓し(図C:▲)止血に成功した.









  【参照症例】   1. その他(Miscellaneous)シリーズ1 【症例 MR 1】

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