前述したように,大量下血例では糞便は下血とともに排出されるので,腸管内容物の性状で出血部位が推測できる.上段の単純CT図5と図6の上行結腸内容物(※)は気泡状ガスが散在する普通便ではなく,やや高濃度の均一な内容物で血腫であることを示唆する.従って出血部位は小腸か右側結腸の可能性が極めて高い.下段の造影CTで図10〜図14の△は単純CTで描出されていないのでextravasation(造影剤の血管外濾出)である.数個の憩室(↑)を認めるので,上行結腸憩室出血と診断できる.緊急大腸ファイバー検査を行ったが出血部位まで到達できず,翌日の再検査で上行結腸に露出血管を有する憩室(図A:▲)を認め,クリップで縫縮した(図B).Hbは13.5g/dlから5.9g/dlまで低下したので2単位の輸血を要したが,以後再出血はなく順調に経過した.
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