文献考察:壊死性(壊死型)虚血性腸炎
1)【虚血性腸炎及び壊死型虚血性腸炎の診療と遠隔成績】 壊死型虚血性大腸炎の診断と治療成績(原著論文/特集)
Author:田畑峯雄(鹿児島市医師会病院), 亀川寛大, 渋谷寛, 大迫政彦, 溝内十郎, 迫田晃郎, 矢野武志, 内園均
Source:日本腹部救急医学会雑誌(1340-2242)22巻1号 Page47-53(2002.01) 要旨:虚血性大腸炎105例を壊死型20例, 一過性型70例, 狭窄型15例に分類して, 壊死型の臨床的特徴, 診断, 治療成績について検討した.壊死型の年齢は57-94歳(平均76歳)と高齢者が多かった.壊死型は動脈硬化性疾患85%, 便秘80%を有していた.壊死型は腹膜刺激症状95%, SIRS90%を認め, 非壊死型と比較して高率であった.壊死型の内訳は遊離穿孔10例, 被覆穿孔4例, 非穿孔6例であった.大腸内視鏡, CTで5例が本症と正診, 8例が消化管穿孔, 7例が腹膜炎と診断された.壊死腸管は19例が横行結腸より肛門側, 1例が全結腸であった.術式はHartmann手術17例, 切除吻合3例を行い, 6例が在院死亡した.術後合併症は呼吸不全9例, ショック遷延8例, DIC8例, 肛門側断端壊死2例を認めた.ADL非自立の4例は退院後1年以内に死亡した.動脈硬化性疾患と便秘を有する高齢者は壊死型のhigh risk groupと認識し,SIRS, 腹膜刺激症状, 画像診断で迅速な手術適応の決定を要する.
2)【虚血性腸炎及び壊死型虚血性腸炎の診療と遠隔成績】 壊死型虚血性腸炎の治療と長期生存例の検討
Author:野澤慶次郎(帝京大学 外科), 三重野寛治, 白京訓, 高階幹, 佐久間伸介, 捨田利外茂夫, 小平進
Source:日本腹部救急医学会雑誌(1340-2242)22巻1号 Page63-67(2002.01)
Abstract:壊死性虚血性腸炎は急激な経過をとり,術中,術後の合併症により予後は不良である.病変が経時的に広がること,漿膜側より粘膜側の病変が広範囲であることから,十分に広範囲の切除が必要であるが,壊死性虚血性腸炎といえども,迅速な術前および術中診断により,安易に腸管の大量切除を行わず,術前診断はもとより,術中においても壊死腸管を迅速に判断し可能な限り腸管温存につとめる必要がある.術後社会復帰した症例が長期間経過する間には,多彩な合併症が出現することを十分考慮する必要がある. 追記:壊死性虚血性腸炎の特徴は表.
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