図1でS状結腸捻転と診断され大腸ファイバー検査が施行されたが,明確な診断がなされないままS状結腸の脱気が行われた.図2の翌日の腹部単純写真でS状結腸捻転が解除されていないとして手術となったがS状結腸捻転を認めなかった症例である.CTでS状結腸捻転を否定できる.図3からS状結腸(Aと1)が尾側へ下行するが,図16の14はそこでUターンして図15の15から下行結腸となり上行する.図17のR1〜図14のR6の直腸が虚脱していないのはS状結腸捻転の可能性が低いことを意味し,図14でS状結腸(L)とR6が連結するのでS状結腸捻転を否定できる.図7の上行結腸(AC)も下行結腸(23)も液状内容物を含み,図8の22から虚脱する図12の18で腫瘍性病変など閉塞の原因となる病変を認めないので,麻痺性イレウスである.手術で浮腫と軽度の虚血所見を呈する小腸(図A:↑)を認めたが,切除せず術後は順調に経過した.小腸中心の腸炎と麻痺性イレウスであろう.
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