腹部全体痛シリーズ(Generalized Abdominal Pain)18 EXPERT COURSE 解答 【症例 GE 89】

横行結腸潰瘍・宿便性閉塞.Stercoral obstruction of transverse colon with ulcer formation.






図6で上行結腸(A)は拡張し,下行結腸(D6)は虚脱しているので横行結腸を1から肛門側へ追跡すると,図6の17で閉塞し,原因は図3〜図5の糞塊(↑)であるが,肛門側の横行結腸(T1〜T10)は虚脱していないから部分閉塞である.便塊の通過を障害する病変はCT上は認めない.下剤と浣腸で排便があり症状は消失した.内視鏡検査で閉塞部に一致する部位で多発性の潰瘍(図A:▲)を認めた.横行結腸の宿便性潰瘍であろう.









参考症例(癒着による横行結腸閉塞):胃切除の既往のある88歳男性.前日に発症した腹痛のため来院した.体温:35.8℃,腹部は膨満しているが軟で圧痛もない.
右側結腸だけの拡張だから,図8の横行結腸(1)から追跡すると,図1の26で閉塞するが,閉塞部位は図4と図5でbeak sign(↑)を示す部位であろう.腫瘍性病変や重積などの閉塞の原因となる病変を認めない.図Aの注腸造影でCTと一致する部位に閉塞(▲)を認めるが,悪性腫瘍を示唆する所見はない.手術で癒着による横行結腸閉塞が確認された.












  【参照症例】   1. その他(Miscellaneous)シリーズ8 【症例 ME 39】

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