腹部全体痛シリーズ(Generalized Abdominal Pain)18 EXPERT COURSE 解答 【症例 GE 88】

穿孔性虫垂炎・麻痺性イレウス.Perforated acute appendicitis with paralytic ileus






液状内容物とガスで拡張した小腸は「腸閉塞」か「麻痺性イレウス」か? 右側結腸(A:上行結腸,C:盲腸)も小腸と同様な内容物を含み,しかも,横行結腸(T)は虚脱しているが移行部に腫瘍性病変や閉塞の原因となる病変を認めないので麻痺性イレウスである.盲腸(C)は図9で盲端になり,回腸末端(TI)は図7から始まる.図9の1が虫垂根部で,図10で糞石(↑)を認め,図11の3〜図9の7が腫大した,ガスを含む虫垂である.図8〜図10で広範囲の蜂窩織炎(phlegmon:▲)を示し,図10〜図12の△は腸管外遊離ガスであり,穿孔性虫垂炎である.図12の白矢印はS状結腸(S)憩室である.手術で穿孔性壊死性虫垂炎が確認された.病理:gangrenous appendicitis.






参考症例(穿孔性虫垂炎・麻痺性イレウス):32歳女性.精神発達遅滞で施設に入所中.3日前から次第に腹部が膨満し,当日に腹部全体痛と発熱が出現した.体温:38.0℃,腹部は膨満を示し,全体に圧痛を認めるが軟.






液状内容物とガスで拡張した右側結腸(A:上行結腸,C:盲腸)と小腸,拡張はないが液状内容物を含む下行結腸(D)は肛門側に閉塞病変を認めないので麻痺性イレウスである.原因を検索すると図9で糞石(↑)に気づく.図10の1〜図12の3が虚脱しかけた虫垂で,図9〜図11の広範囲の炎症所見(蜂窩織炎:▲)と麻痺性イレウスは穿孔性虫垂炎を意味する.手術および病理所見:穿孔性壊死性虫垂炎.







  【参照症例】   1. 右下腹部痛(Right Lower Quadrant Pain)シリーズ18 【症例 RE 90】
2. 下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 11 【症例 LE 54】

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