図4で結腸(AC:上行結腸,DC:下行結腸)に拡張はなく,小腸だけの拡張だから小腸閉塞である.外ヘルニアの嵌頓を除外すれば,絞扼性かどうかを判断する.拡張した小腸はgasless(ガスを含まないか,あっても少量)で,図13〜図16で腹水(※)があり,図5〜図8で腸間膜の濃度上昇(▲)を示し,その腸間膜に付着する小腸の絞扼の可能性が高い.図15の1とAから追跡すると,1は図7の29で閉塞するが,実際の閉塞部位はbeak sign(↑)を呈する図9であろう.Aは図11のEで閉塞を示し,図10でbeak sign(白矢印)を示す部位(a)が単純閉塞の小腸の始まりで,図のように上行し図1のkとなる.図8と図9で虚脱した小腸(SB)を認め,closed loopを形成した絞扼性小腸閉塞と診断できる.Closed loopの小腸壁は単純閉塞の小腸壁と同等に造影されているが,虚脱した腸管と比較して明らかに造影効果は低く微妙な所見であるが,壊死の可能性を否定できない.壊死の有無にかかわらずclosed loopと診断されれば手術の適応である.正確にCT診断され手術となった.子宮底部と腸間膜間に索状物(バンドが)形成されており,それにより20cmの回腸が絞扼されclosed loopを形成し壊死に陥っていた(図A).
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