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腹部全体痛シリーズ(Generalized Abdominal Pain)16 RESIDENT COURSE 解答 【症例 GR 78】
門脈内ガス・小腸壊死.Portal vein gas with small bowel necrosis
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肝臓内のガスは辺縁から2cm以内に存在し,門脈内ガスである(胆管内ガスは肝門部に位置し,辺縁から2cm以内まで達しない). 図4〜13で↑は肝外門脈内およびSMV内ガスで,白矢印はSMV分枝内ガスであり,分枝内ガスは壁内気腫を認めなくてもその領域の腸管壊死を示唆する.門脈内およびSMV内ガスの原因で最も多いのは腸管壊死または高度の虚血状態だから,次に腸管の壁内気腫を検索する.腸管の前方でニボー(air-fluid-level)を形成しているガスや,側方でKerckring皺襞間に存在していると思われる点状ガスは壁内気腫ではないが,ニボーを形成しない線状ガスと,点状でも背側に存在するガスは壁内気腫と解釈すべきと考える.図9と図10の▲,図14〜図17の△は壁内気腫であり,図2と図3の▲も胃壁内気腫である.図6でIVCが虚脱しており,強い脱水状態と解釈し十分な輸液で対処すべきである.脱水が原因の非閉塞性腸間膜虚血症(NOMI:non-occlusive mesenteric ischemia)であろう.小腸壊死と診断され手術となったが,手術室で麻酔導入時に心停止し,CPRに反応なく死亡した.
参考症例
(NOMIによる大量腸管壊死):3日前からの,次第に増強する腹痛と嘔吐で来院した.血圧:164/96mmHg,脈拍:110/分,体温:36.8℃,腹膜刺激症状を認めた.
↑は左側のviableな空腸と比較して壁の造影効果が全く認められない,または一部造影効果があっても強く減弱した小腸で,壊死を示す所見である.図1でIVCが虚脱しており,原因は強い脱水の可能性が高い.手術でSMAの閉塞は認めないが,腸管近くで脈を触れず,Treitz靱帯から40cmの部位から全小腸が壊死に陥っており,時間が経つにつれ大腸も直腸まで虚血状態が進行した.
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文献考察:
門脈内ガス
【虚血性腸疾患とその周辺】 虚血性腸疾患
門脈ガス血症を伴った腸管虚血症
Author:庄野嘉治(和歌山県立医科大学 救急・集中治療部), 中森幹人, 山上裕機, 岩崎安博, 中敏夫, 川崎貞男, 藤本尚, 篠崎正博
Source:消化器外科(0387-2645)28巻1号 Page67-72(2005.01)
要旨
:門脈内ガス血症の発生機序は,1)腸管の壊死,炎症,潰瘍などによる粘膜の損傷,2)イレウス,注腸造影検査や内視鏡検査での空気注入などによる腸管内圧の上昇,3)ガス産生菌の門脈内移行の3点が考えられる.欧米文献検索による門脈ガス血症228例(表)で最も多い原因は腸管虚血・壊死(47.3%)で,その死亡率は75%と高く予後不良である.
【参照症例】
1.
上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ4 【症例 ER 16,17】
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