腹部全体痛シリーズ(Generalized Abdominal Pain)16 RESIDENT COURSE 解答 【症例 GR 76】

腹部大動脈瘤破裂.AAA(Abdominal Aortic Aneurysm) rupture






巨大な腹部大動脈瘤(AAA:Abdominal Aortic Aneurysm)があり,周囲に大量の血腫(※)を伴い腹部大動脈瘤破裂である.図4でIVCが平坦化しており,重度の循環血液量不足を意味し,大量出血を裏付ける.手術で同所見が確認され人工血管置換術が行なわれた.腹部エコー検査で診断可能であり,血圧の低い症例ではCT検査は不要であるどころか危険である.






参考症例(腹部大動脈瘤破裂・馬蹄腎):75歳女性.1時間前に急に腹痛と腰背部痛が出現し,次第に増強するので来院.血圧は80mmHg台,脈拍は120/分.腹部大動脈瘤を触知した.








図8と図9で両側腎の連続性を認め(白矢印)馬蹄腎である.瘤の定義は「正常血管の1.5倍以上」だから,図2の腹部大動脈と比べ図6の↑から1.5倍以上となるのでそこから図15の↑までは腹部大動脈瘤である.図9〜図11でextravasation(造影剤の血管外漏出:△)を認め.図1〜図16の※は後腹膜内血腫であり,腹部大動脈瘤破裂である.図1のIVCは扁平となり強く虚脱しており,出血による重度のhypovolemiaである.エコー検査で瘤と大量の血腫を容易に診断できるので,血圧が不安定ならCT検査は不要である.人工血管置換術を行ったが,術後2日目に大量の小腸大腸壊死を合併し,切除したが死亡した.








  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ27 【症例 ER 133】
2. その他(Miscellaneous)シリーズ4 【症例 MR 16】

 【 次の問題→ 】  【 このシリーズの問題一覧に戻る 】 【 演習問題一覧に戻る 】