小腸だけの拡張だから小腸閉塞である.拡張した腸管の壁は良好な造影効果を示し,骨盤腔内に腹水はなく,腸間膜の濃度上昇を認めない(図13の▲は図12の小腸17のpartial volume effect)ので単純閉塞であろう.図16から追跡すると,Aは図12のFで閉塞し,1は図の数字順に展開し上行する.図11のabはaとbに分かれて上行する.図10〜図13の腫瘤(↑)と壁肥厚(↑)が閉塞の原因病変であり,図9のTIに連続するので部位は回腸末端である.造影効果は強くないが,不整に造影され,腸管内腔側は不整な辺縁を示し,悪性腫瘍を示唆する所見である.図Aの小腸造影で不整な壁欠損像(△)を示し,病変の範囲(白矢印間)はadenocarcinoma としては長すぎると思われ,伸展性も保たれておりmalignant lymphomaを疑う.手術で回腸末端の腫瘍性病変を認め,病理検査でmalignant lymphoma(Non-Hodgkin,diffuse large cell type)と診断された.
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