腹部全体痛シリーズ(Generalized Abdominal Pain)14 EXPERT COURSE 解答 【症例 GE 70】

食餌性(糸コンニャク)小腸閉塞.Small bowel obstruction by food bolus(noodles made of devil’s tongue)






小腸だけの拡張だから小腸閉塞である.図4〜図9の小腸内糞便(↑)に注目する.頭側では図1〜図3の虚脱した小腸(△)となり,尾側では図10の1から液状内容物で拡張したまま図の数字順に展開する.すなわち,小腸内容物(↑)が小腸閉塞の原因であるが,図1〜図3の虚脱した小腸(△)に重積,腫瘍性病変や外部からの圧排を認めず,また癒着による狭窄がなければ食餌性小腸閉塞との診断となる.手術で盲腸から口側20cmの部位で5×3cmの弾性軟の,糸コンニャクと思われる固形物を認め食餌性腸閉塞であった.固形物を用手的に盲腸へ送り出した.術後確認したら,2日前に糸コンニャクを食べたという.参照症例は切開して食物を除去しているが,合併症を避けるためこの症例のように腸管を切開せず盲腸へ送り出す手術法が最善と考える.







参考症例(食餌性小腸閉塞):83歳男性.既往歴:40年前に十二指腸潰瘍で胃切除.5日前から腹痛があり,時々嘔吐を伴う.体温:36.6℃,左上腹部に圧痛と認めた.






図11〜図15で糞便様内容物を含む小腸(↑)があり,図15と図16で虚脱した小腸(△)を認め,図10の1から数字順に拡張した小腸が展開する.手術で食餌性小腸閉塞を認めたが,内容物を盲腸へ送り出したため食物の種類は確認されていない.










  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ19 【症例 ER 91】
2. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ18 【症例 EE 87】

 【 ←前の問題 】  【 このシリーズの問題一覧に戻る 】 【 演習問題一覧に戻る 】