腹部全体痛シリーズ(Generalized Abdominal Pain)14 EXPERT COURSE 解答 【症例 GE 68】

左傍十二指腸ヘルニア.Left paraduodenal hernia








拡張した小腸ループが限局した集簇を作り(↑),滑らかな円弧状の境界を示す,一つの袋の中に収まった感じを出す嚢状構造(sac-like appearance)を形成している.左側に位置し,胃を網嚢側から前方へ圧排しているので嚢を有する内ヘルニアを示唆する.図13の十二指腸:1を追跡すると数字順に展開し,図8の10で閉塞し,図7で集簇した小腸群に合流するようで,上部空腸のヘルニアであるので左傍十二指腸ヘルニアを疑う.Closed loopを形成している可能性が高いとして手術となった.手術で左側後腹膜から胃後部へ広がる拡張した小腸が透視され(図A),左傍十二指腸ヘルニアが確認された











参考症例(左傍十二指腸ヘルニア):40歳男性.3日前から腹痛が続いている.排便は停止し,腹満感と腹痛が増強し来院した.体温:36.1℃,腹部は膨満し,左上腹部に圧痛を認めるが軟,腸雑音は亢進していた.
図1の腹部単純写真で,ガスで拡張した左側に限局する腸管の集簇がある(▲).図2〜図4のCTでも胃を背側(網嚢内)から圧排する拡張した小腸ループが限局した集簇を作り(↑),滑らかな円弧状の境界を持った嚢状構造(sac-like appearance)を形成しており,内ヘルニアを疑う.手術で左傍十二指腸ヘルニアを認めた.
















  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ20 【症例 EE 96】
2. 下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 19 【症例 LE 94】

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