腹部全体痛シリーズ(Generalized Abdominal Pain)14 RESIDENT COURSE 解答 【症例 GR 68】

左大腿ヘルニア嵌頓.Incarcerated left femoral hernia




図1で盲腸(C)は虚脱し,小腸だけの拡張だから小腸閉塞である.図8〜図11で外ヘルニア嵌頓(↑)を認める.図8から下行しながらも大腿動静脈(▲)から離れないで近接していることは大腿ヘルニアを意味する(下記参考症例).図8の小腸ABはAとBに分かれて上行するのでヘルニア近くで閉塞しない.図7の1が閉塞部位であり,図の数字順に展開するのでヘルニア嵌頓が小腸閉塞の原因である.単純CTだから腸管のviabilityの判断は出来ない.図3〜図6の△は子宮に接する球形嚢胞性疾患で,卵巣嚢腫である.手術で大腿ヘルニア嵌頓による小腸閉塞を認めたが嵌頓部腸管の壊死はなく,ヘルニア修復を行った.2日前に来院したが,鼠径部の診察を怠り,その結果内視鏡検査が行われたが,腹痛を訴える患者に鼠径部の診察は必須であり,基本中の基本である.








参考症例(Plain CT,右鼠径ヘルニア嵌頓):24歳男性.1年前から左鼠径部と陰嚢の腫大を自覚していたが容易に還納するので放置していた.数時間前に陰嚢が腫大し,還納されず痛みが出てきた.まもなく腹痛と嘔気を伴うようになり来院.
図8〜図15の↑は右鼠径ヘルニアである.図8で大腿動静脈(▲)と共に腹腔外へ出るが,下行するにつれて大腿動静脈から中央側へ離れていくのが大腿ヘルニアとの相違点である.図6の1から小腸拡張が始まるので,ヘルニアがその原因である.












  【参照症例】   1. 右下腹部痛(Right Lower Quadrant Pain)シリーズ4 【症例 RR 18】
2. 右下腹部痛(Right Lower Quadrant Pain)シリーズ10 【症例 RR 47】

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