遊離ガスだけなら消化管穿孔ではないことがまれにあるが,図4〜図6で遊離ガス(△)に加えて腹水(※)を認めれば消化管穿孔と考えてほぼ間違いない.図11と図12で胃前庭部が粘膜下浮腫による壁肥厚(▲)を示し,図10あたりが幽門輪で,図9〜図7は十二指腸球部を示している.前壁が粘膜下浮腫(▲)を呈し,図7と図8の円形の欠損像(↑)は十二指腸潰瘍を示している可能性が極めて高く,十二指腸潰瘍穿孔と診断する.T:横行結腸.腹水量は,図4の左上腹部で1cm=100ml,図7の肝周囲で1.5cm=150ml,図10のMorison窩で1cm=100ml,図13で右結腸傍溝で1.5cm=150ml,左側は1.5cm=150ml,図15で5cm=250mlで,合計900mlとなり,500ml以上の腹水は手術の適応と考える(下記症例の解説を参照).手術で約800mlの軽度に混濁した腹水があり,十二指腸球部前壁潰瘍の穿孔を認めた.
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