心房細動があるのでSMAに注目し追跡すると,図10と図11で造影効果がやや低下し,図12で全く造影されなくなる(↑).かなり末梢での閉塞だから診断は容易ではないが,早期の動脈相のCTならもっと閉塞所見がはっきりするはずである.小腸が液状内容物とガスで拡張しているのは,図11で盲腸(C)と回腸末端(1)が虚脱しているので通常は腸閉塞を意味するが,回腸の走行は図11の1〜図17の20までであり,図12の15から拡張し始める.しかし,その肛門側に閉塞の原因となる病変を認めないので麻痺性イレウスと解釈する.麻痺性イレウスはある程度の虚血を示唆するが,壁は良好な造影効果を示しているので腸管壊死はないと判断する.血管造影(図A)で回盲動脈分岐部より末梢での閉塞(↑)を認めるが,SMA領域のすべての腸管の血流が保たれている. 2日間ヘパリンの持続注入を行い順調に経過したが,△の空腸動脈以外は攣縮を示しており,塩酸パパベリン注入の適応があると考える.
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