腹部全体痛シリーズ(Generalized Abdominal Pain)11 EXPERT COURSE 解答 【症例 GE 51】

門脈・SMV血栓症.空腸壊死.Portal and SMV thrombosis with jejunal necrosis












小腸の壁肥厚(図11〜図28:▲と△)と腹水(図29と図30:※)を認めれば,炎症性疾患以外にSMV血栓症も鑑別すべきである.図1の肝門部門脈は開存しているが,図2〜図6では部分的閉塞(↑)を,図7〜図15で完全閉塞(↑)を示している.図12と図14の単純CTで大動脈と下大静脈と比較して明らかに高濃度(白矢印)を呈しているので急性の血栓である.造影CTで壁肥厚を示している空腸(▲)は一見粘膜下浮腫に見えるが,単純CTで高濃度(△)を呈しているので壁内血腫を意味し,出血性壊死を示唆する.従って,診断は門脈の部分閉塞,SMVの完全閉塞をきたす血栓症による空腸部分壊死となる.手術で約50cmの空腸が出血性壊死に陥っており切除し,血栓除去も行った.原因は解明されなかった.

















  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ16 【症例 EE 76,77 】
2. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ27 【症例 EE 131】

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