早期の動脈相のCTだから静脈系は造影されていない.心房細動のある人が腹痛を訴えたらSMAに注目する.SMAは図9で半分だけ造影され,次の図10の△から全く造影されなくなり,閉塞している.図9〜図16で▲はviableな空腸(右上から左下への斜線より左側に空腸が,右側に回腸が位置する傾向にある)で,下行結腸(D)と共に壁の造影効果を認めるが,それら以外の腸管壁は造影効果をほとんど認めず,高度の虚血状態と解釈すべきである.右腎が萎縮し造影効果が減弱しているのは,右腎動脈(図3と図4)が対側(図9〜図5)に比べ狭小化しているためであろう.図Aはマルチディテクター(マルチスライス)CTによるMD angiographyで,SMAの塞栓部位(↑)が明瞭に示されている.手術で同所見を認め,全小腸が赤黒く虚血状態を呈していた(図B).血栓除去し血流を改善した後,壊死から回復しない約150cmの回腸を切除した.
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