下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 20 RESIDENT COURSE 解答 【症例 LR 99】

両側卵管卵巣膿瘍.Bilateral tubo-ovarian abscess








図9〜図19の右側の嚢胞性病変(△)と,図10〜図21の左側病変(▲)は,子宮に接し,卵管卵巣の起始部から発生している感じが強く,壁または隔壁が濃染されている.図17〜図24では骨盤腔脂肪組織の濃度上昇(↑:均一で境界鮮明な一部は腹水)を認め卵巣多房性嚢胞の感染,または卵管卵巣膿瘍を強く疑う.図5〜図19の液貯留(※)は反応性の腹水と思われるが,一部の壁は造影効果を受け,膿瘍になりつつある状態であろう.抗生物質を投与したにもかかわらず腹痛は増強し,39度台の発熱も続いたので3日後に手術となった.腹腔内膿瘍と両側卵管卵巣膿瘍を認め,右側は卵管と卵巣2/3を,左側は卵管と卵巣の一部を切除し,治癒した.












参考症例(卵巣膿瘍:ovarian abscess):39歳女性.2日前からの左下腹部痛と発熱で来院した.体温:38.1℃,左下腹部に圧痛がある.
図6〜図8に腹水(※)があり,腹膜の肥厚(△)を伴い腹膜炎を示している.図5〜図7の▲がやや腫大した右卵巣で,図2と図3の※も腹水であろう.図4〜図8の↑は,左卵管の腫大(白矢印)を認め,子宮に接しているのでPID(pelvic inflammatory disease)に伴う卵巣膿瘍(留膿腫)と診断する.2週間の抗生物質投与で治癒した.









  【参照症例】   1. 下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 8 【症例 LE 39】
2. 右下腹部痛(Right Lower Quadrant Pain)シリーズ5 【症例 RE 22】
3. 右下腹部痛(Right Lower Quadrant Pain)シリーズ19 【症例 RE 94】

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