下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 20 RESIDENT COURSE 解答 【症例 LR 97】

急性虫垂炎・膿瘍形成.Acute appendicitis with abscess formation












上段の単純CTでは,図5で虫垂根部と思われる部位に糞石(↑)を認め,図7の1から図5の9が虫垂で,図6〜図10の▲は膿瘍の可能性を示唆するが,確定診断は困難である.
下段の造影CTでは,図20の1〜図17の10が虫垂であることが明白となり,図18〜図23の△は,壁が強く造影され,造影効果を受けない低濃度の内容物(膿)を含み,膿瘍の診断が容易となる.逆に,図17の虫垂根部の糞石は,周囲が造影効果を受けるため糞石は単純CTより相対的に低濃度を示し,不明確になる.手術で同所見が確認された.病理:phlegmonous appendicitis.












参考症例(急性虫垂炎・膿瘍形成):6歳男児.1週間前に下腹部痛と嘔吐が出現し,その翌日には下痢と発熱が加わり,近医にて胃腸炎として治療された.当日になっても下腹部痛,発熱と下痢が続いているので紹介来院した.体温:38.8℃,下腹部全体に圧痛があるが軟で,反跳痛や筋性防御は認めない.
図2で虫垂根部と思われる部位に糞石(↑)があり,図1〜図5で3個の膿瘍(△)を認め,虫垂炎穿孔による膿瘍であろう.5日間の抗生物質投与で症状軽快,食餌摂取可能となり,1週間で退院した.







  【参照症例】   1. 右下腹部痛(Right Lower Quadrant Pain)シリーズ16 【症例 RR 77】

 【 ←前の問題 】   【 次の問題→ 】  【 このシリーズの問題一覧に戻る 】 【 演習問題一覧に戻る 】