下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 20 RESIDENT COURSE 解答 【症例 LR 96】

S状結腸憩室炎腹壁穿破・腹壁膿瘍.Sigmoid diverticulitis penetrated into abdominal wall with abscess formation






図5〜図13の↑は腹壁内の膿瘍である.図8の下行結腸(D)から図13のS状結腸(S5)まで壁肥厚を呈し,多発性の憩室(白矢印)を認め,結腸と腹壁膿瘍間には脂肪組織の濃度上昇(▲)を示し,S状結腸憩室炎であり,それが腹壁へ穿破したものと診断する.図10の憩室(△)が炎症の中心にあり,責任病変であろう.抗生物質投与で治癒した後S状結腸切除を行った.病理:sigmoid diverticulitis.






参考症例(S状結腸癌腹壁穿破・膿瘍形成):61歳男性.10日前に左下腹部に疼痛を伴うシコリが出現し,体動時に痛みが増強する.3日前から発熱もある.体温:37.4℃,左下腹部にソフトボール大の腹壁内腫瘤を触れ,強い圧痛を伴う.
図4〜図7の↑は腹壁内の膿瘍である.図1と図2で憩室(白矢印)を認めるにもかかわらず,図3〜図8のS状結腸(△)の壁肥厚は憩室炎としてはやや強い造影効果を示し,癌を疑うべきである.膿瘍の切開,ドレナージを施行した.2回の内視鏡検査による生検で確定診断はなされなかったが,S状結腸を切除し,病理検査でmoderately differentiated adenocarcinoma,ss と診断された(図A:▲が癌病変) .












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