図5〜図10で上行結腸(AC)と盲腸(Ce)が液状内容物を含むので,拡張した小腸は典型的な腸閉塞の所見ではないが,部分閉塞の可能性は否定できないので図16のAと1を頭側へ追跡してみる.1は図の数字順に展開し,図4のまだ拡張していない口側の空腸63となる.Aは図11のFで閉塞し,同図のGは強い造影効果を受ける閉塞病変を示している.図12のI〜図15のLも強い造影効果を呈する病変である.病変の長さ,平滑な辺縁から腫瘍性病変は考えにくい.急性病変なら粘膜下浮腫を伴う場合が多いので,何らかの慢性炎症性疾患を疑う.図Aの小腸造影で憩室様(△)病変を伴う線状の狭窄(↑)を認める.手術で,盲腸から約100cmの部位で閉塞があり,瘢痕狭窄病変と思われた.病理検査で切除した回腸病変から結核菌が発見され,回腸結核症と診断された.
|