下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 19 EXPERT COURSE 解答 【症例 LE 95】

穿孔性虫垂炎・移動盲腸.Perforated appendicitis with mobile cecum



右側結腸は同定できないが,液状内容物で拡張した腸管は,頻回の下痢もあることから麻痺性イレウスである.図15〜図17で大量の腹水(※)と肥厚した腹膜(△)は骨盤腔の腹膜炎を意味する.図11〜図14のガス像▲は,上下で腸管への連続性を認めず腸管外遊離ガスの可能性が高い.図12と図13で結石(糞石:↑)が嵌頓した管腔臓器があり,図11の白矢印に連続し,図9で盲端になるから,虫垂または憩室の穿孔と診断する.正常虫垂の長さは2〜20cmとされ,移動盲腸があれば虫垂は腹腔内のどこに位置してもおかしくない.その後1週間,コレラや赤痢などの感染性腸炎の検索をしたが下痢の原因は究明されず,また3日後に下痢は消失したが腹痛と腹部所見の改善はみられない.








下段は1週間後の5mmスライス造影CTである.上記CT同様,糞石(↑)とそれに連続する管腔臓器(白矢印)を認める.図6〜図11の▲は腸管外遊離ガスであり,図11〜図23で大きな膿瘍(※)を形成していることが明らかになり手術となった.骨盤腔から飜転し下腹部中央に位置する盲腸,2cm大の糞石を含む穿孔性虫垂炎と骨盤腔内の巨大膿瘍を認めた.






















  【参照症例】   1. 下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 4 【症例 LR 19】
2. 下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 11 【症例 LE 52】

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