下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 19 RESIDENT COURSE 解答 【症例 LR 93】

穿孔性虫垂炎.Perforated appendicitis



盲腸(C)と骨盤腔内小腸が液状内容物で充満しているのは麻痺性イレウスであろう.麻痺性イレウスの原因を検索するのだが,図5と図6の糞石(↑)に気づき,前後を追跡すれば診断は容易である.盲腸(C)は図10で盲端になり,回腸末端(TI)は図5からはじまり,下腹部へ下行する.図9の1が虫垂根部で,図4の6まで虚脱したまま上行し,図5と図6で嵌頓した糞石があり,そこから末梢は腫大し,図8のガスを含む10で盲端になる.麻痺性イレウスは進行性(穿孔性または壊死性)の虫垂炎を意味するのでさらに検索すると,回腸末端の走行が図のとおりであれば,図8〜図11の※は腹膜の肥厚を伴う液貯留(すなわち穿孔)または膿瘍と判断する.







腹痛,38〜39度台の発熱と少量で頻回の下痢が続いた.抗生物質を投与したにもかかわらず改善傾向がないため5日後にCT検査を行った.図2〜図6で膿瘍(▲)を形成していることが明らかになり,エコー下に経皮的ドレナージを行い症状が消失した.膿培養:E.coli.







参考症例(穿孔性虫垂炎):55歳男性.1週間前から下腹部痛があり,当日に急に増強したので来院.体温:37.5℃,腹部全体に腹膜刺激症状を認めた.
図1で遊離ガス(↑)があり,図6の白矢印が虚脱した虫垂で,図4〜図9の▲は腸管外遊離ガスと液貯留を示し,穿孔性虫垂炎である.TI:回腸末端.手術で同所見が確認された.










  【参照症例】   1. 右下腹部痛(Right Lower Quadrant Pain)シリーズ17 【症例 RR 83】
2. 下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 4 【症例 LR 17】

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