下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 18 EXPERT COURSE 解答 【症例 LE 90】

骨盤腹膜炎.PID(pelvic inflammatory disease)






盲腸(C)の液状内容物,回腸末端(TI)と一部小腸のガスと液状内容物による拡張は麻痺性イレウスであろう.図8,図11と図12の腹水(※),図8の腹膜の肥厚(↑),図10の脂肪組織の濃度上昇(▲),図9のS状結腸の浮腫性肥厚,さらに図8と図9の腫大した右卵巣は骨盤腹膜炎・PID( pelvic inflammatory disease )を強く示唆する.さらに図10では子宮が腫大し,内膜(白矢印)が肥厚し,子宮内膜炎を示している.血液検査にてC.トリコマティスAg(EIA)が陽性で,クラミジア感染症と診断され,抗生物質投与で治癒した.







参考症例(PID):29歳女性.前日に下腹部痛,悪寒戦慄,発熱と数回の下痢が出現し近医受診,胃腸炎として治療された.当日になっても下腹部痛と発熱が続いたため来院した.体温:37.1℃,腹部全体に圧痛と反跳痛があるが筋性防御はない.
図1でガスと液状内容物を含む盲腸(C)は麻痺性イレウスを示唆し,同図で回腸末端(TI)とS状結腸(S)が浮腫性に壁肥厚を示し,腹水(※)があり,図2〜図5の↑は浮腫状に腫大した両側卵巣であり,PIDと診断する.腹膜炎の診断で手術となった.混濁した腹水があり,膿苔の付着した,腫大した両側卵巣を認め,卵巣炎を伴う骨盤腹膜炎(PID)と診断された.腹水培養からstreptococcus pyogenes(group A)が検出された.










  【参照症例】   1. 右下腹部痛(Right Lower Quadrant Pain)シリーズ5 【症例 RE 22】
2. 下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 8 【症例 LE 39,40】

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