下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 18 EXPERT COURSE 解答 【症例 LE 89】

左卵巣出血.Left ovarian bleeding






図1〜図12まで腹水(※)がある.直腸,S状結腸から下行結腸までの走行は図9の1〜図4の15であるが,骨盤腔内には小腸は存在しない.従って,図6〜図12の内部不整な,膀胱内尿より高濃度の△はすべて血腫と解釈すべきである.膀胱と腹水の境界が分かり難いが,図10と図11の▲も血腫だから図10〜図12の白矢印のやや低濃度の部分が膀胱であろう.図9と図10でやや腫大した卵巣があり,図9〜図11の↑はextravasation(造影剤の血管外漏出)を示し,妊娠反応が陽性であれば子宮外妊の可能性も考慮するが,陰性であれば左卵巣出血がほぼ確定診断となる.入院後も腹痛がさらに増強したので手術となった.左卵巣に排卵創を,腹腔内に750gの出血を認めた.術後Hb:7.8g/dlまで低下したが輸血せずに順調に経過した.







参考症例(右卵巣出血):24歳女性.前日に突然下腹部痛が出現した.当日になり腹痛が増強したので来院.体温:36.1℃,下腹部に圧痛がある.
相当量の腹水(※)と血腫(△)があり,図7の▲は卵巣で,図6〜図8の↑は,卵巣周囲の皮膜様のリング状高濃度も含めextravasationであり,右卵巣出血である.安静のみで治癒した.













  【参照症例】   1. 右下腹部痛(Right Lower Quadrant Pain)シリーズ5 【症例 RR 23】

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