腹膜垂炎( Epiploic appendagitis )の造影CT所見は(参照症例の文献),1).1〜4cm大の,卵円型の、正常の脂肪より吸収値(density)の高い,さらに高吸収値の外縁を伴った,大腸壁に接する脂肪組織(図7と図8:↑),2).隣接する大腸は部分的に壁肥厚を呈し(図6の6〜図8の8),その壁肥厚した大腸の長さは5cm以内である(憩室炎ではほとんどの例で5cm以上),3).周囲脂肪組織の炎症性浮腫による濃度上昇(図6〜図9:▲)や腹膜の肥厚があることである.憩室炎と誤診されることが多いが,この症例では憩室を認めない,5cm以内の壁肥厚であり,憩室炎は否定できる.図Aの注腸造影で,S状結腸の腸間膜反対側は比較的平滑な粘膜面を示している(白矢印)が,腸間膜側は母指圧痕像(thumb printing:△)を呈し,上記診断を裏付ける.
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