拡張しているのは小腸だけだから,小腸閉塞である.図19で腹水(※)があり,拡張した小腸はgaslessだが,壁の造影効果は良好で,腸間膜の濃度上昇を認めない(図6の白矢印は図7のpartial volume effect)ので絞扼性小腸閉塞の可能性は低い.図16の内容物(▲:食物残渣)は小腸内糞便(small bowel feces)と呼ばれ,そこが閉塞部位または閉塞部位に近いことを示唆するので1とAを頭側へ追跡してみる.1は,図5の12からは液状内容物となり,拡張したまま図1の40へと展開する.Aは図10のGとなりそこで閉塞する.図10〜図12の△が虚脱した小腸で,図10と図11の↑が閉塞部位であるが,腫瘍性病変,重積や圧迫する周囲病変を認めないので閉塞の原因は癒着による狭窄または屈曲,あるいは全く正常な小腸であれば食餌性腸閉塞となる.NGチューブを挿入したが,翌日腹痛が増強したので手術となった.多少の癒着を認めたが,空腸に食物残渣の塊があり閉塞の原因となっていた.圧排により砕けないため摘出したら,刻まれていない一塊のキャベツ(図A)であった.
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