図1〜図14の球形嚢胞性病変(↑)は,女性で下腹部にあれば卵巣嚢腫の可能性が極めて高い.果たして急性腹痛の原因病変か? 1)一部の壁の造影効果が見られない,2)図14でdensityが測定されているが,嚢胞性病変(丸数字2)は38.3HUと高濃度を示し,血性内容物の可能性がある,3)図12〜図16の腹水(※)はdensityが23.4HUで,血性(30HU以上)ではないが,通常の汚染されていない腹水(density10HU以下)としては高く淡血性であろう,4)図10と図11で白矢印は腫大した卵管であろう,以上の4所見から卵巣嚢腫の捻転と診断する.図3〜図9の▲と,図12〜図14の△も嚢胞性病変で,多房性である.図3の右腎の白矢印は水腎症を示しているのではない.腎盂が造影されており,腎実質の造影効果に左右差がないから嚢胞である.手術で血性腹水と壊死に陥った左卵巣嚢腫を認め(図A),反時計方向に720度捻転していた.病理:serous cystadenofibroma.
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