下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 18 RESIDENT COURSE 解答 【症例 LR 87】

S状結腸憩室炎.Diverticulitis of sigmoid colon






図5〜図8のS状結腸(S)は内容物を含まないのに3cm以上の厚さを示し,明らかに壁が肥厚している.図4〜図6で多発性の憩室(↑)があり,周囲脂肪組織の濃度上昇や腹膜の肥厚(▲)も認められ,典型的なS状結腸憩室炎である.腸管外糞便や腹水を認めないが,図9と図10の△は腸管外遊離ガスの可能性があり,図9の白矢印は液貯留で,限局された穿孔の可能性がある.絶飲食と6日間の抗生物質投与で症状が消失した.






参考症例(S状結腸憩室炎):42歳男性.3日前からの,増悪する下腹部痛と発熱で来院した.体温:37.3℃,左下腹部に圧痛がある.S状結腸(S)が壁肥厚を示し,憩室(↑)を認め,周囲脂肪組織の濃度上昇または腹膜の肥厚を示し(▲),S状結腸憩室炎である.図5の白矢印の憩室を中心にして炎症所見が広がっているので責任病変であろう.







8日間の抗生物質投与で症状が消失した時のCTが下段の図8〜図10だが,認識できる憩室(↑)の数がかなり増えた.つまり,憩室炎を起こすと炎症に巻き込まれ認識できなくなる憩室が多数あることを示している.下記参照症例の解説に記載したように,S状結腸の壁肥厚は発生過程で生じるので,治癒しても肥厚したままである.



  【参照症例】   1. 下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 6 【症例 LR 26,27,28】

 【 ←前の問題 】   【 次の問題→ 】  【 このシリーズの問題一覧に戻る 】 【 演習問題一覧に戻る 】