文献考察:変性子宮筋腫
【産婦人科救急疾患とその実践的対応】 婦人科領域における救急疾患の各論 実際の画像所見と対処法を中心として 子宮筋腫と子宮悪性腫瘍
Author:北正人(京都大学 婦人科産科), 藤井信吾
Source:救急医学(0385-8162)24巻1号 Page67-71(2000.01)
子宮筋腫の変性・感染:子宮筋腫に変性が起こることはよくみられるが, とくに赤色変性では疼痛が強い.赤色変性とは筋腫血管の血栓形成とその破綻の結果, 血液が筋腫組織に浸潤するために起こる変性で, 割面が暗赤色を呈することを特徴とする.この変性は妊娠中に起こることが多い.症状としては突然に発生する筋腫領域の疼痛, 圧痛がある.時には悪心嘔吐を伴う.治療は鎮痛剤の投与を行う.通常はこれで疼痛は徐々に改善するものであるが, 強度の疼痛が持続する場合は核出術を考慮する必要がある.また, このような筋腫には感染が起きることがある.感染経路は主として内膜からの感染によるものであり, 粘膜下筋腫に起こることが多い.とくに産褥期に子宮内膜炎より感染が波及して起こることが多く, まれには敗血症に至ることがある.まず抗生物質による治療を行うが, 改善しないようなら開腹手術が必要である.
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