上段の2日後のCTで,塩酸パパベリンを持続動注するためにSMA内にカテ(↑)が留置されている.図1〜図3の空腸(▲)と,図4〜図7で骨盤内小腸(回腸)は,壁の造影効果は良好で,虚血を示唆する所見はない.臨床的にも腹痛が軽減し,順調な経過であった.
下段の図14〜図22で下行結腸(D)とS状結腸(S)と,または上段の2日前の腸管壁と比較してすべての小腸壁の造影効果が減弱しており,虚血状態である.原因は,図9〜図13でSMAに留置したカテーテル(↑)が抜けて大動脈内に存在しているからである.下記症例の文献考察で述べられているように,SMAへ血管拡張剤を持続動注する場合,カテーテルがSMAからはじけて抜けていないことを毎日レントゲンで確認する必要がある.結果的に塩酸パパベリンを全身投与したことで,腸管虚血をきたしたのであろう.腹部が膨満し,ドレーンからの腹水排出量が増加してきたので手術となった.Treitz靱帯から50cmの部位から横行結腸右側までが壊死に陥り,または高度の虚血状態を示しており切除した(図A).
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