下腹部痛シリーズ(Lower Abdominal Pain) 14 EXPERT COURSE 解答 【症例 LE 68】

絞扼性小腸閉塞(壊死なし).Strangulated obstruction with no necrosis








右側結腸は普通便を含んでおり小腸閉塞である可能性が極めて高い.図1で腹水(※)があり,拡張した小腸はgaslessで,図7〜図9の腸間膜の濃度上昇(▲)があるので,その右側小腸に注目する.図3のAIから追跡すると,図14のLと図10の8で閉塞する.間に3スライスあるが,5mmスライスCTだから近接した部位で閉塞すると解釈できる.図9のabは上行し,図5でaとbに別れ,aは上行し,他方bは下行する.そのbは図20でUターンしd となり,上行して図10で閉塞する.つまり,そこが単純閉塞の起始点であり,d→c→b→ab→aと逆行して図2のaと展開するのである.図9〜図12で虚脱した小腸(SB)があり,図3のA〜図14のLと図3の1〜図10の8はclosed loopを形成しており絞扼性小腸閉塞と確定診断できるが,壁は単純閉塞の小腸壁と同等に造影され,腹水量もわずかで,この時点では壊死はないviableな絞扼性小腸閉塞である.下段の図1〜図19は翌日のCT.













図3のA〜図16のNと図3の1〜図11の9は前日同様にclosed loopを示しているが,図1で腹水(※)は増量し,壁の造影効果はほぼ消失し,図5〜図11の,ニボーを形成しない線状のガス像(△)は壁内気腫であり,腸管壊死または高度の虚血状態を強く示唆する.この時点でCT所見が正確に診断され手術となった.図Aのように約15cmの回腸が索状物により絞扼され完全壊死に陥っていた.前日のCT所見でclosed loopの診断が可能であり,その日で手術しておれば腸管切除は不要であったと思われる.




















  【参照症例】   1. 上腹部痛(Epigastric Pain)シリーズ6 【症例 EE 26〜28】

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